STRUNG OUT “Songs of Armor and Devotion”(2019)

Fat Wreck Chordsのカリフォルニア産高速メロディックハードコア番長STRUNG OUTの4年ぶり9枚目のアルバム。スピーディーでメロディアスでメタリックだからパンク好きもメタル好きも大好きなStrung Out!今年の7月には来日公演も決まっています。詳細はこちら

アルバムは軽やかな気持ちの良いベース音から開幕!爽快なギターリフ、手数の多いドラムの爽やかな疾走ナンバーでいつも通りの安心感を与えてくれる。時折見せる純情的なサビもStrung Outの持ち味の一つ。
シリアスな雰囲気のイントロからBPMが加速していく#②はサビのコーラスも相まってしっとりと聴かせてくれる。
そして#③これぞまってましたと言わんばかりのstrung out節炸裂な今作一のキラーチューン。メロディアスなイントロを一聴しただけで名曲だと確信できる。イントロを聴くだけで曇った視界が一気に晴れやかになるくらいの名イントロ。夏に聴くにはぴったりな暑さを吹き飛ばす爽やかなメロディでツインギターソロもグッとくるエモーショナルさで気持ちいい。アメリカのバンドってなんでこんなに爽やかな曲が作れるのか本当に不思議に思う。聞くだけでサンタモニカみたいなアメリカの壮大な海岸とかが背景に浮かんでくるんだよね、やっぱ住んでる環境、バックグラウンドが大きく関係してるんだろうけど日本のメロコアバンドを聴いてもなかなか背景が見えてくるバンドっていないんだね。こういうところって本当に羨ましい。スケボー乗れないけど乗れてる自分を勝手に妄想しちゃうくらい気持ちのいい曲。所々哀愁漂うメロディが入るのもグッとくる。終盤のツインリードギターも長くなく短くもなくちょうどいい尺で曲のテンションギアを一段階上げてくれる。
#③とは打って変わって静かな立ち上がりで哀愁サウンドを響かせてくれる#④
この対比もまたStrung Outの一つの武器。爽やかなメロコア一辺倒っていうバンドはたくさんいるけどStrung Outのように爽やかなものからカチッとメタリックな曲、それからグッとくる哀愁メロコア曲まで作れるバンドはなかなかいない。歌メロを中心に手数の多いギタープレイを挟むのに曲のバランスを崩さず雰囲気を大切にしながら進行していく様子にメロディを大事にしているバンドなんだなと実感する。
メロディックスピードメタルバンドのようなツインギターから幕開けする#⑤などメタル好きも唸らせるスピード感。小刻みなギターリフ、シンプルなドラミングでテクニックをひけらかすのではなくしっかりメロコア風に仕上げる器用さが目立つ。
静かなギターイントロからシリアスなメロディ、コーラスで不思議な雰囲気を漂わせるがサビではいつものメロディアスな歌メロを聴かせてくれる#⑦、スリリングなギターからのアップテンポな王道メロコアナンバー⑧、しっとり雰囲気で艶やかに歌い上げる#⑨など後半にかけても曲調を変えるなど飽きさせない姿勢が伺える。少ししっとりした曲が続いた中で#⑫のようなアップテンポで勢いがあるパワーソングでアルバムの活気を蘇らせる。
前半に比べ後半は印象に残る曲が少なかったが単調になることなくバラエティ豊かな楽曲が並びそこまでだれることはなかった。前作よりメロディの充実度が高く今作の方が好きになった。来日公演に備えてもっと聴き込みたい。

Rating:7/10

 

STRUNG OUT「Songs of Armor and Devotion」

Release Date : 2019/8/9

Genre : Merodic Hardcore

Country : United States

Lebel : Fat Wreck Chords

FEVER 333 “STRENGTH IN NUMB333RS”(2019)

ロードランナーからデビューしたFEVER 333。2017年結成の新人バンド扱いだがメンバーは今まで他のバンドでキャリアを積んできたツワモノ揃い。ボーカルのジェイソン・エイロン・バトラーはLetliveという2017年に解散したポストハードコアバンドで4枚アルバムを出している。ドラムのアリック・インプロタはプログメタルバンドNIGHT VERSES、ギターのステファン・ハリソンはエクストリームメタルバンドTHE CHARIOTという経歴を持つ。そんな3人で結成したFEVER 333はドラム、ギター、ボーカルというちょっと変則的な3ピース編成でベースはいない。飛ぶ鳥を落とす勢いで人気急上昇中。フジロックの初来日では衝撃的なライブパフォーマンスを見せ話題を集めた単独公演で再来日した際は朝の情報番組「スッキリ」に出演。スタジオでド派手に暴れるが礼儀正しい暴れ方に加藤浩次も絶賛、テレビの前の一般視聴者にも強烈な印象を与えたに違いない。その影響もあってか初単独公演はソールドアウト。世界中が今一番注目しているラウドバンドといっても過言ではない
2018年に1st EP『MADE IN AMERICA』でデビュー。政治的なメッセージを含んでおりかなりの衝撃を与えた。それから約一年、ついに1stデビューアルバムが完成した。
スリースリースリーのコールが鳴り響くイントラから幕開け。ヘヴィなギター、ノイズなどが飛び交う中ラップボイスがのりサビはメロディアスに歌い上げるリードトラック
#②はまるでリンキン・パークのよう。ドラムのグルーヴ力を魅せるミドルテンポな#③、ラップでテンポよく進んでいき印象的なサビで仕上げる④などとにかくサビのメロデイが突出している。Aメロ、Bメロ、サビへの流れが自然かつ間髪入れずに流れていくので聞いていて気持ちいい。唯一のバラードになる#など表現力豊かなボーカルも伺え懐の深さに驚かされる。サウンド的には真新しさはないいわゆるミクスチャーバンドだが楽曲の良さが目立つ。ライブパフォーマンスの話題が先行してしまうがアルバム全10どの曲もシングルカットしてもおかしくないほどクオリティが高い楽曲が並んでいる。効果的なノイズ、シンセ、バックコーラスなどが組み込まれ3ピースとは思えない音の厚みを感じる。まるで3ピースバンドのリンキン・パークといったところだろうか。どの曲もシンガロング必至のものばかりでライブ栄えするものばかり。久しぶりにヘビロテできるアルバムに出会えた印象。できるだけ早くライブを体感したいと思う。

Rating:9/10

 

FEVER 333「STRENGTH IN NUMB333RS」

Release Date : 2019/1/18

Genre : Rap Metal

Country : United States

Lebel : Roadrunner

BAD RELIGION “Age of Unreason”(2019)

来年結成40周年を迎える元祖メロディックハードコアバンドBAD RELIGIONの6年ぶり17枚目のフルアルバム。

結成40周年ってすごすぎる。このバンドを知ったのは高校生の頃海外に行ったときにBAD RELIGIONのバンTを着ている伯父様がいてなんだあのかっけーTシャツは!?バッド宗教とか超クールなんて思いながら調べたのがきっかけ。もっと極悪のサウンドのバンドだと勝手に思い込んで聞いてみたらさわやかなインテリチックな哀愁メロコアサウンドに一発ノックアウト。それから聞き続けているバンドです。

そんな思い出のBAD RELIGIONの最新作。1曲目からドラムのリズミカルなビートから始まる疾走ナンバーで幕開け。若手にはまだ負けないぞという大ベテランのエネルギッシュな曲に脱帽。グレッグ・グラフィンもボーカルも年々渋さを増していき声を聴いただけで哀愁感と安心感に包まれる。1曲目のスピード感をそのままに先行公開された#②「My Sanity」に続く。もうイントロを聞いた瞬間にガッツポーズ。とても2010年代とは思えない哀愁サウンドでイントロからギターで泣かせてくれる。これだよこれ。決して古臭いとかそういうことではなく真新しさも何もないんだけどリスナーが求めているサウンドをバンドは熟知している。サビの優しさ溢れるグレッグのボーカルにまた惚れこんでしまう。ストレートなナンバーの数々にメロコアってこういうサウンドだったよなと懐かしい思いにさせてくれる。それはやはりメロコアで大事なのはテクニカルさでもなくヘヴィさでもなくスピードでもなくメロディだということをBAD RELIGIONが再認識させてくれる。彼らの曲を聞いてると余裕のある心地よいメロディに包まれる。BAD RELIGIONの楽曲は小細工なしでいたってシンプルなのにリスナーに満足感を与えてくれる。それはバンドがメロディに絶対的な自信を持っているからに違いない。元祖メロコアの名に恥じぬ小細工なしのメロディで勝負してくれるから私たちリスナーも安心して聴けるのだろう。来年で結成40年を迎えるがこれからも私たちに心地よいメロディを提供してくれることは間違いない。

recommend→①②③④

Rating:9/10

Release Date : 2019/5/15

Genre : Merodic Hardcore

Country : United States

Lebel : WARNER MUSIC

RAMMSTEIN “Untitled”(2019)

ドイツの最強インダストリアルメタルバンドRAMMSTEIN、通算7枚目のアルバム。

フェスへの出演やツアーなどは行っていたが前作「Liebe ist für alle da」のリリースが2009年だから10年ぶりの新作。もちろん期待しかなかったけど見事に期待の遙か上を行くアルバムを作ってくれた。先行公開されていたリードトラック#①「Deutchlandから幕開け。Keyのスリリングな電子音からヘヴィなギターサウンド迫力のある硬いドイツ語のボーカルが入るRAMMSTEINサウンドは健在。いい意味で何も変わってない。ただ母国の名前を叫んでるだけなのにこの格好良さは何なんだろうか。映画のサウンドトラックのように壮大でドイツ語の意味もわからないのに自然と目の前に背景が浮かんでくる。Keyサウンドがいい味を出してサビではメロディアスに歌い上げる#②、女性の壮大なオーケストラから徐々にスピード感を増していきボーカルTimのバラエティ豊かな歌い回しが光るシンフォニックナンバー#③、エレクトリックなkeyがリズミカルに響きダンスミュージックのようなアップテンポナンバー#などアルバム前半からバラエティ豊かで結構お腹いっぱい。⑤⑥⑦と落ち着いたスローナンバーが続きクールダウン。#⑥はTim怒りに満ちた狂気的なボーカルでサビを歌い上げる迫力のナンバーアコースティックなサウンドで童話の語り口調のように優しい柔らかいボーカルで歌い上げる⑧、壮大でメロディアスなサビが印象的な⑨とバラードが続く。そして#⑩はこれぞRAMMSTEIN待ってましたと言わんばかりのヘヴィなギターリフとわかりやすいシンプルなリズムトラックでライブで定番曲になるだろうキラーチューン。今までも結構そうだったけど後半にキラーチューンが必ず1曲は入ってる印象。アルバム全体の荘厳な雰囲気をそのままに効果的なコーラスでダークかつ力強い独特な世界観を展開しつつアルバムは幕閉じ。

殺傷力のあるギターリフ、高圧的なボーカル、スリリングなKeyなどRAMMSTEINに求めているものが全て詰まっている。シンプルなリズムでわかりやすい攻撃的なサウンドはそのままにメロディライン、ボーカルの表現力もが過去最高に充実。粗削りな部分は削ぎ落されソリッドに進化した新たなRAMMSTEINが垣間見える1枚となっている。

追記:ニューアルバムでスタジアムツアーするみたいだけどもちろん日本公演はなし、、、もう海外で見るしかないね。。

recommend→①②⑩

Rating:9/10

Release Date : 2019/5/17

Genre : Industrial metal

Country : Germany

Lebel : Universal

IN FLAMES “I, the Mask”(2019)

スウェーデン出身メロディックデスメタル四天王IN FLAMS、前作「Battles」から約2年半ぶり13枚目のスタジオアルバム。
メロディメーカーのイェスパーが抜けてから音楽性がメロディックデスメタルからオルタナティブメタルに変わっていき前作はキャッチーながらアグレッシブさも失わず大衆にアピールできるアリーナサウンドを響かせた一枚だった。アンダースのクリーンボーカルもアルバムを重ねるごとに進化し歌メロな曲が目立つようになってきた。初期の頃からのファンにとっては受け入れがたいサウンドかもしれないが今までのアルバムを聴いていくと順当に進化したサウンドだと感じる。

今作も前作の延長戦上のオルタナティブ方面に向かうと思ったがIN FLAMESは予想を遥かに超えてキャリア集大成のアルバムを作り上げた。先行公開された#②「I,The Musk」でスピーディーかつヘヴィなサウンドで名盤「Come Clarity」を彷彿させるような楽曲に今回は期待できると思った人も少なくないはず。だけどそこはやっぱりIN FLAMES。期待通りにはいかない。アルバム全体を通すと速い曲はこの一曲のみ。ミドルテンポな楽曲が大半を占めている。しかし一つ一つの曲に初期のインフレイムスを感じさせるギターリフ、メロディが散りばめられている。今の楽曲は昔の楽曲とは180度違うのにインフレイムスだと認識できる。メロディックデスメタル期、アメリカを意識したモダンサウンド期、そして今のオルタナティブ期全てのいいとこ取りをしたのが今回のアルバムだと感じる。アンダースのスクリーム、クリーンボイスが著しく成長して今ではバンドの1つの武器になっている。このボーカルの進化が楽曲の幅を広げて#⑦「We will remember」#⑪「All My Pain」のような哀愁漂うパワーバラードにも現れている。ここ数作の中では最高にスクリームパートが多くヘヴィなギターサウンドそして手数の多いドラミングが目立ちメタル以外の何者でもないが聴き疲れしないメロディアスさ飽きさせない曲構成は流石の一言。#③「Call My Name」、#⑨「Burn」のような近年見られるシンガロングを意識させた合唱アリーナソングもクオリティが高くライブでの受けは間違いない。
どの楽曲も一つの枠にとらわれないインフレイムスらしいキャリア集大成と言えるサウンドに脱帽。またメタルの一つの完成形を見せつけられた。次作で今度はどんな新しいサウンドを聴かせてくれるのか今後のインフレイムスにも期待せざる得ない1枚。

recommend→②③⑦⑨

 

Rating:9/10

 

IN FLAMES「I,The Mask」

Release Date : 2019/3/1

Label : Nuclear Blast